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ボッテガ・ヴェネタのオーナーは誰?ケリングとの関係
ボッテガ・ヴェネタ(Bottega Veneta)のオーナーは、フランスのラグジュアリーコングロマリット「ケリング(Kering S.A.)」です。ケリングは2001年にボッテガ・ヴェネタを買収し、それ以来ブランドの親会社として経営を支えてきました。
ボッテガ・ヴェネタは1966年にイタリアのヴィチェンツァで創業した独立ブランドでしたが、90年代後半に業績が低迷。ケリング(当時はグッチグループ)が約1億5,600万ドルで買収したことで、ブランドは第二の黄金期を迎えることになります。
2025年現在、ボッテガ・ヴェネタの年間売上高は約17億ユーロ。ケリンググループの中でグッチ、イヴ・サンローランに次ぐ第3の収益柱として、その存在感を強めています。ボッテガ・ヴェネタの商品ラインナップを見れば、ケリングの支援のもとでブランドがいかに充実した展開を実現しているかがよくわかります。
ケリング・グループとは?
ケリング(Kering S.A.)は、1962年にフランソワ・ピノーが設立したフランスのコングロマリット企業です。当初は木材取引や通信販売を手がける会社でしたが、1990年代後半からラグジュアリー・ファッション分野への投資を本格化させ、現在では世界最大級のラグジュアリーグループに成長しました。
本社はパリ7区のセーヴル通り40番地に構えています。ユーロネクスト・パリに上場しており、CAC 40(フランスの主要株価指数)の構成銘柄にも選ばれています。
ケリングの基本データ(2025年)
| 項目 | データ |
|---|---|
| 正式名称 | Kering S.A. |
| 設立 | 1962年 |
| 本社 | フランス・パリ |
| 会長 | フランソワ=アンリ・ピノー |
| CEO | ルカ・デ・メオ |
| 2025年売上高 | 146.75億ユーロ |
| 従業員数 | 約47,000人 |
ケリング傘下の主要ブランド
ケリングは以下のラグジュアリーブランドを傘下に持っています。
グッチ(Gucci)は最大のブランドで、2025年の売上高は約60億ユーロ。イヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)が約26億ユーロで続き、その次に位置するのがボッテガ・ヴェネタの約17億ユーロです。さらに、バレンシアガ(Balenciaga)、アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)、ブリオーニ(Brioni)、ブシュロン(Boucheron)、ポメラート(Pomellato)、DoDo、ケリング・アイウェア(ケリング独自のアイウェア部門で2023年に15億ユーロの売上)などが名を連ねています。
この顔ぶれを見ればわかるように、ケリングは「ラグジュアリーのなかでもクラフトマンシップに根ざしたブランド」を集中的に保有しています。ボッテガ・ヴェネタのイントレチャート技法によるバッグや財布は、まさにそのポートフォリオの中核にふさわしい存在です。
ケリングがボッテガ・ヴェネタを買収した経緯
ボッテガ・ヴェネタは1966年の創業以来、独立したブランドとして運営されてきました。1980年代は黄金期で、映画「アメリカン・ジゴロ」にイントレチャートのクラッチバッグが登場し、アンディ・ウォーホルがブランドのショートフィルムを手がけるなど、セレブリティ文化との結びつきも強い時代でした。
しかし1990年代後半に入ると、競合ブランドのロゴ全盛期の中でボッテガの「ノーロゴ」哲学は時代遅れと見なされ、売上は急速に落ち込んでいきます。ブランドの存続自体が危ぶまれる状況でした。
2001年、当時「グッチグループ」と呼ばれていたケリングの前身が、ボッテガ・ヴェネタを約1億5,600万ドル(当時のレートで約190億円)で買収しました。この買収額は、現在のボッテガの年間売上17億ユーロと比較すると、いかに先見の明があった投資だったかがわかります。
ケリングがボッテガ・ヴェネタに見出したのは、他のブランドにはない本物のクラフトマンシップでした。イントレチャートという唯一無二の技法、ヴィチェンツァの革職人の伝統、そして「ロゴに頼らない」という哲学は、短期的な流行に左右されない持続可能な価値だとケリングは判断したのです。
ケリング傘下でのボッテガ・ヴェネタの成長
ケリングによる買収後、ボッテガ・ヴェネタは3人のクリエイティブ・ディレクターのもとで段階的に成長を遂げてきました。
トーマス・マイヤー時代(2001年〜2018年):再建と確立
買収と同時に就任したトーマス・マイヤーは、エルメスでの経験を活かし、17年間にわたってブランドを率いました。「あなた自身のイニシャルがあれば、それで十分」というモットーを掲げ、イントレチャートを現代のラグジュアリーに再定義。ボッテガ・ヴェネタの利益を3倍に成長させ、ケリングの中でグッチに次ぐ第2の収益源へと押し上げました。
ダニエル・リー時代(2018年〜2021年):爆発的成長
ダニエル・リーの就任は、ボッテガ・ヴェネタにとってターニングポイントでした。マキシ・イントレチャートを導入し、カセットバッグやジョディバッグなどのアイコンモデルを生み出しました。SNSアカウントを全削除するという大胆なマーケティング戦略も話題を呼びました。
数字で見ると、その成長は圧倒的です。2020年のパンデミック下でも売上は約5%増の12.1億ユーロを記録。2021年には15億ユーロを突破し、前年比25%増、2019年比で32%増という驚異的な伸びを見せました。
マチュー・ブラジー時代(2021年〜2024年):安定成長
リーの後任として就任したマチュー・ブラジーは、革新と伝統のバランスを重視。アンディアーモバッグなどの新たなアイコンを発表しました。2022年には売上17億ユーロの過去最高を記録。ラグジュアリー市場全体が厳しかった2024年も、ボッテガ・ヴェネタは6%の売上成長を達成し、同時期にグッチが21%減少する中でケリングの中の「成長エンジン」としての地位を確立しました。
ルイーズ・トロッター時代(2024年〜現在):新章の始まり
2024年に就任した現クリエイティブ・ディレクターのルイーズ・トロッターは、ミニ・アンディアーモやバーバラ・トートなどの新作を発表。ケリングの支援のもと、ボッテガ・ヴェネタの次の章を描き始めています。
ボッテガ・ヴェネタの現在の経営体制
ボッテガ・ヴェネタの経営は、ケリングが任命する経営陣によって運営されています。2026年9月時点の主要な経営陣は以下の通りです。
| 役職 | 氏名 | 就任時期 | | — | — | | CEO | ロマン・スピッツァー | 2026年9月1日〜 | | クリエイティブ・ディレクター | ルイーズ・トロッター | 2024年〜 |
2026年7月、ケリングはロマン・スピッツァーをボッテガ・ヴェネタの新CEOに任命すると発表しました(2026年9月1日付で就任)。スピッツァーはラグジュアリー業界で30年以上の国際経験を持ち、直近ではLVMHビューティのフレグランスグループ部門でプレジデント兼CEOを務めていました。それ以前にはパルファン・クリスチャン・ディオールのフレグランス事業部門長を務めるなど、ブランドの育成と小売体験の構築に定評があります。
前CEOのバルトロメオ・ロンゴーネは2019年から約7年間にわたってボッテガ・ヴェネタのCEOを務め、ブランドの売上を12億ユーロから17億ユーロへと成長させた実績があります。
このように、ケリングはボッテガ・ヴェネタに対して「完全子会社」としての所有権を持ちながらも、ブランドの独自性を尊重した経営を行っています。クリエイティブ面はディレクターに委ね、ビジネス面はプロの経営者を配置するという役割分担が、ボッテガ・ヴェネタの安定した成長を支えています。
ケリングの中でのボッテガ・ヴェネタのポジション
ケリンググループ全体が厳しい市場環境に直面する中、ボッテガ・ヴェネタの存在感はむしろ高まっています。
2025年のケリング全体の売上は146.75億ユーロで、前年比13%減。主力のグッチは前年比22%減の約60億ユーロと大幅に落ち込みました。イヴ・サンローランも8%減の約26億ユーロ。そんな中、ボッテガ・ヴェネタは前年比横ばい(既存店ベースで3%増)の約17億ユーロを維持しています。
ケリング主要ブランドの売上比較(2025年)
| ブランド | 2025年売上 | 前年比 |
|---|---|---|
| グッチ | 約60億ユーロ | −22% |
| イヴ・サンローラン | 約26億ユーロ | −8% |
| ボッテガ・ヴェネタ | 約17億ユーロ | ±0%(既存店+3%) |
この数字が示すのは、ボッテガ・ヴェネタがケリングの中で最も安定したブランドになりつつあるということです。グッチがブランドリセットの最中にあり、サンローランも売上減少に直面する中、ボッテガ・ヴェネタだけが成長を維持している。
さらに、2025年第1四半期のデータでは、ボッテガ・ヴェネタの売上は4億500万ユーロで前年同期比4%増と、唯一プラス成長を記録しました。ホールセール(卸売)チャネルの売上減少は−13%ですが、これはブランド側が意図的にパートナーを厳選している結果であり、ブランド価値の希薄化を防ぐための戦略的判断です。
ボッテガ・ヴェネタのカードケースやキーケースといったエントリーレベルの革小物から、アルコ・トートのようなハイエンドバッグまで、幅広い価格帯で顧客を惹きつけていることが、この安定した業績の背景にあります。
まとめ:ケリングとボッテガ・ヴェネタの関係が意味すること
ボッテガ・ヴェネタのオーナーはフランスのケリング・グループです。2001年の買収以来、ケリングはボッテガ・ヴェネタに対して「資金力」と「経営の専門性」を提供しながらも、ブランドの独自性——イントレチャートの職人技、ノーロゴの美学、ヴィチェンツァの革工房の伝統——を損なうことなく成長させてきました。
2025年現在、ボッテガ・ヴェネタは世界307店舗、年間売上17億ユーロのグローバルブランドに成長。ケリンググループの中でも最も安定したパフォーマンスを見せており、グッチの売上が大幅減少する中でも成長を維持しています。
2026年9月にはロマン・スピッツァーが新CEOに就任し、ルイーズ・トロッターのクリエイティブ・ディレクションとともに、ボッテガ・ヴェネタの次の成長フェーズが始まろうとしています。
ケリングという「巨人の肩」に乗りながらも、ボッテガ・ヴェネタはあくまで自分らしさを貫いている。それがこのブランドの最大の魅力であり、60年近く愛され続けている理由です。